通貨間の金利差が、為替レートに影響を与えることは、広く理解されるようになっています。しかし、為替レートの変動要因は、未だに解明されていません。外国為替取引よりも歴史がある株価の変動要因に関しても、未だに解明されていません。結論としては、「解明できない」ということなのでしょう。さまざまな要因が複雑に絡み合い、時として、それぞれの変動要因が独立してクローズーアップされることもあり、時として、その変動要因が別の変動要因に影響を与えることもあります。たとえば、各国の金利の動きにも、その傾向が読み取れます。・金利が上昇する場合は、世界中の金利が上昇傾向となる・金利が下落する場合は、世界中の金利が下落傾向となるその絶対値には違いがあるものの、ドル金利が上昇する場合には、ユーロ金利も上昇する、といった影響を与えます。金利の上昇からは、世界的なインフレ傾向が読み取れます。原油価格の上昇は、記憶に新しいことでしょう。1バレル=20ドル〜25ドル程度だった原油価格は、1バレル=75ドル程度にまで上昇しました。このところは、60ドル〜75ドル程度で持ち合っていますが、それでも、2倍以上に値上がりしています。2007年7月、8月に一時、75ドルを超え、その後、70ドル程度に戻しています。原油価格の上昇は、原材料価格の上昇であり、貴金属価格(金価格)の上昇に波及しています。貴金属価格(金価格)の上昇は、銅や鉄の価格上昇に影響を与えています。現在の日本は、インフレが話題にならない傾向があります。2007年年初の日銀の利上げには、政府与党から“横槍”が入りました。原油価格にしても、末端のガソリンの小売価格は、2倍、3倍になったわけではありません。1リットル=90円〜100円か、1リットル=130円〜140円程度になっただけです。2007年7月になって、ガソリンの小売価格は、1リットル=140円を上に抜けました。新聞やテレビなどで発表される、元売りの大手石油会社のコメントでは、さらにガソリンの価格は上昇することになりそうですが、それでも、1リットル=90円〜100円と比べて、1・5倍程度に収まっています。日本を代表する大企業は、史上最高益をたたき出しています。しかし、家計所得など裾野の方には、まだ、その恩恵が流れていない状況です。ですから、インフレは禁句であり、日銀はCPT1(消費者物価指数)などの物価上昇率をにらんでいるのです。そういったことが、円金利の引き上げに「待った」をかけています。しかし、円金利引き上げのタイミングが遅れたこと(遅れていること)の影響は、確実に、後々出てくるようになります。金融政策は、与件を判断して、適宜行う必要があります。しかし、日銀は過去に失敗しているので、予防的、前倒し的に実施することが難しいのでしょう。日銀は、バブル経済期に、予防的、前倒し的に金融引き締め(円金利の引き上げ)を実施しました。しかし、その後のバブル崩壊で、日本経済が長期にわたって低迷したことから、日銀の採った金融政策は間違いだったと、非難された経緯があります。そういった事情があるので、日銀の円金利引き上げのタイミングは、遅れがちになります。インフレが顕在化すると、金利引き上げが行われますが、インフレのスピードが顕在化しても、金利の引き上げ幅は限定されますから(いっぺんに、1%も2%も、金利を引き上げることはできませんから)、結局、後追い、かつ、不十分な引き上げ幅となり、後々の、さらなる利上げに追い込まれます。マーケット(金融市場・外国為替市場)は、それに気が付かないほど“お人好し”ではありません。ですから、円金利が本格的に上昇を始めると、さらなる利上げ期待感が広まり、その思惑は拡大流布することになります。現在の日本のマーケットしか知らないと、どこか空想の世界のように感じられるかもしれませんが、過去の金融市場では、普遍的に起こってきたことなのです。そして、これからも普遍的に起こることなのです。ですから、金融政策は、きちんと勉強をすれば、誰でも、ある程度、読むことができるようになります。ただし、労力を惜しまずに、努力をする人は少ないようですが……。