胃からは塩酸が分泌されます。この塩酸のために、第一関門をなんとか突破して胃に入ってきた病原菌は簡単に死滅してしまうのです。さらに第三関門として、小腸粘膜上皮細胞には細菌が侵入しにくいバリアーがありますし、たとえ細菌が侵人したとしても、上皮細胞の原形質内にあるリゾチームによって分解されてしまいます。子どもたちがかかったO157による食中毒の原因として、食肉の加熱不足で生菌が残るなど調理面での理由のほかに、私は「子どもたちがよく噛まずに食べている」ことをあげたいのです。現代の子どもたちは食べ物をゆっくり噛んで食べませんから、唾液がじゅうぶんに出ず、病原菌への防御機構がくずれやすくなっているのではないでしょうか?さらに、食べ物を水やジュースなどの飲み物で流し飲みするため、水分で唾液や胃液がうすまり、消化器官の防御機構が働かず、O157がゆうゆうと腸管に到達してしまったのでしょう。